○芋茎(いもがら)
サトイモ科の多年草であるサトイモの葉柄(茎)を乾燥させた製品。山形県、福島県、新潟県などで需要が多い。冬場の乾燥野菜として利用される製品である。葉柄の表皮をむいてから乾燥させることが多いが、表皮をむかずにそのまま荒縄でしばり軒先などに干して乾燥させたいもがらもある。
サトイモは東南アジア、マレー半島などが原産地といわれており、中国を経て日本に伝来し、江戸時代には各地で栽培されるようになった。熊本城を築城するときに籠城を予見し畳の芯になる畳床として用いたことや、太平洋戦争のとき乾パンの原料に用いたという逸話がある。
【名 称】
生の葉柄を「ずいき」と呼ぶが、いもがらのことを「ずいき」と呼ぶこともある。葉柄が緑色のカラドリイモやハスイモ(葉柄専用種)などでつくった「青がら」、葉柄が赤紫色のヤツガシラやトウノイモなどでつくった「赤がら」がある。
また、いもがらの葉茎を2~3つに割いて乾燥したものを割菜と呼ぶ。割菜は、生のまま湯がいて熱いうちに酢をかけて食べられている。
【生 態】
サトイモは高温多湿を好むが、土質に適応性があるた青森県以南の全国各地でつくられており、それぞれの土地に適した品種が多い。11月頃から霜の降りる12月が収穫期であり、東北地方や徳島県、高知県、和歌山県、熊本県などが産地である。表皮をむくときにあくが出るため、下処理や干し作業など加工に手間がかかる。
【主な種類】
特別な産地銘柄はなく、どの品種も製造が可能。よく原材料となるのは京都産のエビイモ、ハスイモ、カラドリイモなどである。
【栄養と機能性成分】
血圧を下げる効果があるといわれるカリウムのほか、カルシウムや食物繊維が豊富。脂肪をほとんど含まない低エネルギー食品である。
【保存と利用方法】
5月を過ぎるとカビや害虫が発生するので缶や密閉容器に入れて保存する。生でも食べられるので戻し方は簡単。よく洗い水に2~3分浸けるだけでよい。多少のえぐ味があるのを好む人もいるが、えぐ味をとるのは熱湯に浸けて、冷めたら水を取り替えるか煮るとよい。
味噌汁やほかの野菜などと一緒に煮物や油いために利用する。また干瓢の代わりに紐のように結んだり、海苔巻きなどにする。
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