2015年6月21日日曜日

乾麺類

○乾麺類(かんめんるい)

 ここでは、「干し麺」として市場に出回っている麺を総称して乾麺と呼ぶ。麺の歴史は古く、奈良時代に中国のさまざまな大陸文化とともに、日本に伝来した。当時の書物に、中国の麺をさす「索餅」の名で登場している。

 索餅は小麦粉と米粉を練って、縄のようにねじったものだったといわれている。和名は「麦縄」であり、鎌倉時代の文献にはこの麦縄の名で登場している。「索」は縄を、「餅」は小麦粉を使った食品であることから、索餅と麦縄は同じものだったとみられており、そののち、索餅が「索麺」「素麺」と変化して素麺の名が定着したのではないかとされている。

 また、索餅は伝来した当初、宮中儀式用の供え物として利用されていた唐菓子の一種であったという説もある。平安時代から旧暦の7月7日の七夕のとき、宮中の儀式の供え物にされていたといたといわれている。全国乾麺協同組合では、これにちなんで7月7日を「そうめんの日」と定めて消費拡大を図っている。

【定 義】

 日本農林規格による乾麺類の定義は次の通り。

1.小麦粉または蕎麦粉に食塩、やまのいも、抹茶、卵などを加えて練り合わせたのち、製麺し、乾燥したもの
2.1に調味料、やくみなどを添付したもの。

【主な種類】

 素麺、冷麦、うどんがあるが、これらの違いは基本的に原料ではなく太さの違いである。日本人は特に麺類好きの国民であり、全国にまたがり産地ブランドがある。日本列島は南北に長く、地域により気候が大きく異なるとともに四季がある。

 こうした環境から、麺は多くの食べ方や嗜好の違い、食文化、行事、風習などが顕著に表れている食材であるといえるだろう。よい小麦が収穫できること、よい水があること、そしてよい塩があることがおいしい麺の生まれる大きな要因である。

【製造方法】

 製麺業者により異なるが次の製法が一般的である。

1.小麦または蕎麦粉に食塩を加えてミキサーで混合しこねる(加水率は30~50%)。
2.フィダーをとおして粒状になった生地をろーるに押し込んで麺帯をつくり成型する。
3.さらにグルテンの形成を整えるため2枚の生地をあわせる。
4.熟成させる。熟成時間は製品によって異なり、うどん、冷麦などは長く、蕎麦は短い。
5.麺帯を圧延ローラーにかけて徐々に薄く延ばしていく。
6.切り刃でそれぞれの商品の幅に切り出す。
7.自然乾燥、あるいは扇風機などで除湿乾燥する。
8.麺の特長により長さを調整して裁断する。

【栄養と機能性成分】

 素麺やうどんは小麦粉と塩で作られているので澱粉とタンパク質が多い。ほかの野菜の精進揚げや、三つ葉、かまぼこ、鶏肉、てんぷらなどと組み合わせてバランスよく食べるのがよい。

【保存と利用方法】

 全国乾麺協同組合連合会は乾麺の賞味期間を、手延素麺は製造から3年半、手延冷麦は1年半、手延うどんは1年以内を目安にしている。しかし、保存方法や管理状態で賞味期限は変化する。とりわけ手延べの場合は、製造工程において油を使うため、保存方法によっては変質する可能性が高い。機械製造乾麺の場合の賞味期限は、うどん、きし麺は1年以内、冷麦、蕎麦は1年半、素麺は2年を目安として判断している。

 また、手延麺を湿度管理された場所で保管した場合、「古品」として希少性が高くなる。通常、麺類は秋から冬の寒い時期に製造され、梅雨をこして出荷する。古品は、これを木箱や紙箱に入れて除湿管理して1年以上保管された製品。麺が熟成されるとともに、油返しの臭いがとれてシャキッとした食感がうまれることからギフトなどに人気がある。

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