2015年6月27日土曜日

凍り蒟蒻

○凍り蒟蒻(こおりこんにゃく)

 蒟蒻を凍らせて水分を抜き乾燥させた製品。最近では、洗顔用のスポンジとしても市販されている。蒟蒻の原料であるコンニャクイモは、東南アジアで栽培され、中国を経て日本に伝来されたものとされている。

 1858年(安政5)に常陸の国の中島藤衛門が製粉法を発明し、水戸藩の財政上から奨励され、全国に広がった。大阪乾物問屋の資料によると、氷豆腐より100年ほど早く取引が始まっていたという。現在、凍り豆腐は精進料理などで有名であるが、凍り蒟蒻は茨城県周辺での生産量が最も多く、ほかの地域ではほとんど生産されていない幻の食材である。

 日本で凍り蒟蒻がいつごろから生産されたのかは不明だが、江戸時代の頃から農閑期の副業として盛んに作られてきたという。現在の主な生産地は茨城県の山間地で、いずれも農閑期である冬の季節に農家によって製造されている。

【生 態】

 蒟蒻の原材料であるコンニャクイモはサトイモ科の多年草で、火山灰を含んだアルカリ性の土地でのみ育つ。蒟蒻の生産量が最も多いのは群馬県である。凍り蒟蒻の主な産地は茨城県常陸太田市で、特産品としてこの地区で数件の農家が生産している。

【製造方法】
1.蒟蒻を薄く切り石灰の水に浸ける。
2.田畑に藁を敷き詰め、約3mmの厚さでハガキ大に切った蒟蒻を丹念に並べ水をかける。
3.蒟蒻は夜から朝にかけて凍る。そののち、昼間の直射日光を当ててゆっくり解凍させて水をかける。
4.この作業を約20日間繰り返すうちに蒟蒻の水分が抜けスポンジ状になる。色も灰色から白色に変化する。
5.仕上げにしっかり乾燥させる。

【栄養と機能性成分】

 カロリーゼロで繊維質やカルシウムを多く含む食品である。

【保存と利用方法】

 水にぬらさず保存すれば50年経っても食べることができる。利用する前に水に浸け、やわらかくなったら石灰分が出るようによくもみ出し、水を搾っておく。醤油、砂糖、みりんなどで味付けをしたり、てんぷら、フライ、吸い物の具としても利用できる。

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