2015年6月11日木曜日

隠元豆

○隠元豆(いんげんまめ)

 マメ科の一年草であるインゲン豆の種子を乾燥させた製品。原産地は中南米一帯で、紀元前から栽培が始まりメキシコを中心として広まっていったとされている。江戸時代初期に、明の隠元禅師が日本に渡来しもたらしたという逸話が命名のもとになったが、隠元禅師が実際になんの豆を持ち込んだのかは定かではない。

【生 態】

 非常に品種が多く、日本全国でそれぞれの土地に合う適正品種を選んで栽培している。得に北海道の生産量が多く、現在は国内生産量の約90%を生産している。

 また、豆類の中では大豆の次に輸入量が多く、輸入品は甘納豆や菓子に利用される。比較的成長が早く、年に3回も収穫できることから場所によっては三度豆などの呼び名もある。

【主な種類】

●大福豆

 白いんげん豆の一種。粒大きく味もよいことから需要が多く、最高級品とされている。甘納豆や煮豆、きんとんなどに利用される。

●手亡豆(てぼうまめ)

 白いんげん豆の一種。つる(手)がなく、枝に直接実るため「手亡」と呼ばれる。豆の大きさによって大手亡、中手亡、小手亡と呼び分けられてる。白餡の原料として利用される。

●金時豆

 種皮が濃い赤色の品種。いんげん豆の中で国内栽培量が最も多い。「福勝金時」「丹頂金時」など、さまざまな新種が開発されているが、北海道帯広の大正町で量産が始まったことからその名がついた「大正金時」が有名である。おもに甘納豆、煮豆などに利用される。

●うずら豆

 灰褐色の種皮に茶褐色の斑点模様がある品種。鳥のウズラの卵に似ていることからこの名がついた。本長、中長、丸長など、さまざまなかたちの種類がある。

●虎豆

 白い種皮に虎の皮に似た斑点がある品種。アメリカから伝来した。澱粉の粒子が細かく粘りがあるため、煮豆に最適とされている。

●紫花豆

 赤紫の種皮に黒い斑点がある品種。インゲンマメと同属だが、ベニバナインゲンというマメ科の多年生つる草の種子である。日本では江戸時末期に伝来した。赤い美しい花をつけるため、当初は観賞用に栽培されていた。大粒で食べ応えがあるため、甘納豆や煮豆に利用される。

 東北地方などの涼しい地域や、長野県や群馬県などの標高が高く冷涼に地域で栽培された紫花豆は「高原花豆」の名前で販売されていることが多い。

●白花豆

 ベニバナインゲンの一種。種皮や花が白く、白インゲン豆などと呼ばれることもある。

●紅絞り豆

 虎豆と金時豆の交配種。紅白の模様から縁起物として珍重されている。煮豆やスープなどの料理に利用され、煮るとピンクになる。生産量は少ない。

 このほか、パンダ豆、キドニービーンズ、ビルマ豆、カナリオビーン、カリオカ豆、クランベリービーンなど輸入品を含め数多くの種類がある。

【栄養と機能性成分】

 大豆に比べるとタンパク質と脂質が少なく、炭水化物が多い。ミネラルやビタミンB群、食物繊維が豊富である。

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