2015年6月25日木曜日

葛粉

○葛粉(くずこ)

 マメ科の一年草であるクズの根から採れる澱粉質を精製した粉。クズは秋の七草のひとつであるが、葛切り、葛素麺、葛餅などの葛粉を利用した製品は、その涼やかな口当たりから夏の冷たい和菓子などに多く用いられている。また、葛粉は澱粉類の中で、最高級とされている。

【名 称】

 葛芋(クズの根の部分)を12~3月頃に掘り出し、加工した製品を本葛粉と呼ぶ。葛粉は薬効をもち、多少の苦味がある。

【生 態】

 クズはつる性の植物である。30~50年の長きにわたり地下で育ったクズの根は、長さ1m、直径約20cmにもなる。本葛粉は生産量が少なく効果であるため、一般にはじゃがいも澱粉、薩摩芋澱粉、コーンスターチなどを混入したものが出回っている。

【製造方法】

1.クズの根を繊維状に粉砕する。
2.真水で洗い、その絞り汁から澱粉を沈殿させ、上水を捨てる。
3.真水を入れて攪拌し、下に沈んだ良質な部分だけを取り出す。
4.さらにあく抜きのために真水を入れて攪拌し、沈殿させて上水を捨てる。
5.以上のような精製作業を何回も繰り返したのち、絹ですくい上げて乾燥させる。

【主な種類】

 奈良県の吉野葛、三重の伊勢葛、福井県の若狭葛、福岡県筑前の秋月葛などが有名である。

【加工品】

●葛切り

 葛粉を水で攪拌して熱加えたのち、氷水に入れて冷やし、麺状にして乾燥させた製品。京都府や奈良県などの観光地では、夏の冷涼として黄粉や黒蜜などをつけて食べられており、精進料理やお茶漬けなどでも人気である。

 用途は春雨と同様だが、昔は葛切りのほうが多く食べられていた。葛澱粉を取り出す作業に手間がかかるため、葛切りは春雨より高価である。春雨の凍結製法と非凍結製法と同じ原理の製造方法を用いるが、糊化、温度、熟成時間、熟成方法、原料配合(混合比率)などは専用業者によって異なる。最高級品は「吉野本葛」とされている。

●葛素麺

 本来、葛粉を水でこねて沸いた湯の中に細く落としてゆでたものを乾燥させた製品である。しかし、現在販売されている製品は澱粉を煮て糊をつくり、その糊で澱粉をこねて生地を作り製麺機にかけて製麺したものや手延製法でつくりあげた手延葛素麺などである。

【栄養と機能性成分】

 葛粉はイソフラボンを含んでおり、体を温め血行をよくする。また更年期障害や骨粗鬆症、前立腺がんなどの改善効果があるとされている。

【品質の見分け方】

 本葛には原材料、原産地名の表示義務がないため、原材料表示をよく確認する。本葛、あるいは葛澱粉と記されたものが本葛であり、葛粉と表示されているものは、ほかの澱粉と混ぜた製品である。

【保存と利用方法】

 湿気を含むとかたまってしまうので、密閉容器や缶などに入れて保存する。中華料理のとろみ付けなどに利用すると料理が冷めにくくなる。冷えるとかたまるため和菓子や洋菓子など、いろいろな用途がある。

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