○干し杏(ほしあんず)
バラ科の落葉中高木であるアンズの実から種を取り除き、乾燥した製品。乾燥果実として販売されている。
アンズの原産地は中国北部、中央アジア、ヒマラヤ西北部である。中国では2000年前以上から種の中にある「杏仁」を収穫し、漢方薬として利用してきた。杏はそののち、中国からヨーロッパ、中東、アフリカに伝わり、18世紀頃にアメリカに渡ったとされている。日本に伝わった時期はわからないが、平安時代の書物に「カラモモ」という和名が記載されている。
本格的に栽培されるようになったのは、ヨーロッパ品種が導入された大正時代からだと思われる。現在、日本で市販されている干し杏は輸入物が大半をしめ、一番多いのは中国産で、日本の品種よりサイズが大きい。
【生 態】
日本で栽培される杏は和アンズ、日本アンズなどで、粒は小さく、色は褐色で時間が経つと黒くなってくる。味は酸味が強い。日本全国で栽培されるが、特に甲信越地方で多く栽培されている。長野県で春早くに花が咲き、6月下旬から7月にかけて実がなる。得に長野県千曲市郊外の森地区、長野市安茂里、倉科地区で栽培が盛んである。
【主な種類】
日本で栽培されているアンズには、平和、昭和、信州大実などの品種があるが、これらはおもに生食用である。干し杏に向く品種は次のものである。
●山形三号
山形県の原産品種で、昭和初期から長野県で栽培されてきた。果実は円形で黄色実がかった橙色をしており、酸味が強いので生食には向かないが、干しアンズやジャムの加工に利用される。
●新潟大実
新潟県の原産品種で、酸味が強く干し杏やジャム、シロップ漬けの加工用として利用されている。円形淡橙色で果肉は40~60g前後である。
【栄養と機能性成分】
βカロチン、カリウムなどを多く含み、高血圧、動脈硬化予防に効果があるといわれる。
【保存と利用方法】
密閉容器かビニール袋、瓶などで保存し、ドライフルーツとして利用する。
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