2015年8月11日火曜日

春雨

○春雨(はるさめ)

【名 称】

 馬鈴薯澱粉や、マメ科の一年草であるリョクトウを加工し、加熱して麺状にしたものを凍結し、乾燥させた製品。白く透明な姿が春に降る細長い雨を連想させるため「春雨」と名付けられたといわれる。

 春雨は日本名で、中国では「粉状・粉絲」、韓国では「タンミョン」と呼ばれる。昭和初期には、「豆麺」という名で輸入されていた。そののち、サツマイモ、ジャガイモの澱粉を原料にして、奈良・三輪地区の素麺業者が、手延素麺の閑職期の副業として生産するようになった。

【生 態】

 リョクトウはインドで栽培されたのが始まりとされている。世界各地で栽培されており、日本では中国すら伝わって栽培が始まったが、現在ではほとんど栽培されていない。

【製造方法】

 薩摩芋澱粉、じゃがいも澱粉、コーンスターチなどを配合した製造する。

●凍結春雨

 日本で製造される春雨のほとんどは凍結春雨である。①原料を配合して熱を加え、澱粉をアルファー化する。②小さい穴から熱湯のなかにたらしこんで茹でる。③完全にアルファー化したら水で冷やし、水の中を泳がせながら棒にかけて引き上げる。④冷凍庫で保存する。⑤凍結した春雨を天日乾燥(室内乾燥)する。

●非凍結春雨

 中国で製造される春雨のほとんどは、リョクトウの澱粉を原料とした非凍結春雨である。細い形状は凍結春雨と同様だが、純白で透明、光沢があり、一定の太さで細いウェーブがある。代表的なブランドに「龍口春雨」がある。

 日本で市販されている「マロニー」はこれの一種である。①混合した澱粉乳をステンレスのベルトの上に流す。②薄い膜状にして熱を加えアルファー化する。③巻き取って数時間熟成させてから製麺機で麺状に裁断する。④乾燥させる。

 さらに透明感を出すときには、ソラマメの澱粉を20%くらい混入させることもある(スープ春雨用など)。韓国冷麺は馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉に蕎麦粉を入れた非凍結麺で、春雨ではない。

【保存と利用方法】

 春雨は濡らさない限り、カビ、害虫の発生はない。寒い季節には、かしわの水炊き、サブシャブなどの鍋料理に、そのほか、酢の物、サラダ、マーボー豆腐中華炒めに利用される。また夏に素麺のようにして食べられている。

0 件のコメント:

コメントを投稿