2015年8月12日水曜日

パン粉

○パン粉(ぱんこ)

 パンを細かく砕いて乾燥させた製品。生パン粉、ソフトパン粉、乾燥パン粉などの種類があるが、どれも水分量を調節したもので、乾物屋が扱っている。揚げ物の衣やハンバーグに練りこんで利用されている。

 パン粉を使った揚げ物は、オーストラリア料理のウインナシュニッツェルが始まりといわれており、日本では明治時代に「洋食」として、西洋文化とともに独自の発展をとげた。欧州ではかつて油が貴重品であったため、油で揚げる料理は少ない。ウインナシュニッツェルは牛肉を薄く延ばして砕いたパンにまぶし、油をひいた鍋で焼く料理である。これがビーフカツとなり、トンカツに発展したといわれている。

 明治時代、肉や魚にパン粉をつけて、てんぷらのように揚げたものが洋食店で出始めた。洋食店で揚げ物がよく作られるようになると、1907年(明治40)に丸山寅吉がパン粉専業の製造販売業者となったのを皮切りに、製造業者が増えていった。

 戦後は、食生活の洋風化にともない口当たりの軽いパン粉が作られるようになり、トンカツ、エビフライ、カキフライなどの衣として中身の素材を引き出す日本独特の洋食として代表的なものになった。そののち冷凍食品、調理加工食品、外食産業など多くの材料に使われるようになった。またハンバーグ、ミートボール、コロッケなどの練りこみ用に利用されている。

【製造方法】

 ①まずパンを焼く。小麦粉とイースト菌などの副材料を混合し、パン生地を作る。②生地を発酵させてから丸めて型に入れて焼く。焙焼式の場合、オーブンを使って火で焼くため、ふっくらとした焼き色が付く。電極式の場合、電気で焼くため、焼き色がなく蒸しパンのような仕上がりになる。③焼きあがったら冷蔵庫で冷やし、水分を均一化させる。④回転する粉砕機でパンを細かくする。

【主な種類】

●生パン粉

 パンを規定粒度に粉砕し、水分を30~35%含んでいる製品。食感のよさが好まれている。

●乾燥パン粉

 水分が11~13%のため、保存性、作業性が高い。

●カラーパン粉

 生地を作るときに着色料を添加して色を付けた製品。揚げ色がよくなり、長時間おいても揚げ色が変わらず退色しにくい。

●ミックスパン粉

 焼き目をつけずに仕上げた白パン粉とカラーパン粉を任意の割合でミックスした製品。

●プレッダーパン粉

 かための生地をロールで帯状に延ばして、オーブンと高周波で連続して過熱し焼成した、アメリカンタイプのクラッカーパン粉。

【保存と利用方法】

 乾燥パン粉は吸湿しやすいので、高温多湿の場所を避け乾燥した風通しのよいところで保存する。開封後は冷蔵庫で保存し、虫が付きやすい食品と同じ所におかない。パン粉は、家庭でも簡単に作ることができる。食パンの耳の部分を集めてフードプロセッサーやチーズおろし器などを使った粉にすればでき上がる。

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