2015年7月14日火曜日

蕎麦

○蕎麦(そば)

 タデ科の一年草であるソバの実を粉砕したのち、製麺した製品。ソバは、アジア諸国で栽培され、ネパールや中国雲南省などから朝鮮半島を経て日本に麺文化として伝来したといわれている奈良時代より以前からあったとされる考えられるが、文献に登録するのは鎌倉時代頃からである。

 穀物の豊作の祝う五穀には入っていないことから、庶民の食べ物として特に珍重されていなかったと推測される。江戸時代になると夜鳴き蕎麦や振る舞い蕎麦として庶民の食べ物として定着した。蕎麦粉をそのまま加工した蕎麦団子、蕎麦がきなどもあるが、麺に加工された製品の消費がほとんどである。日本各地で祝蕎麦、門前蕎麦などさまざまな食べ方がある。

 一般的には、夏蕎麦と秋蕎麦があり、秋蕎麦の方が消費が多い。高原で朝霧が多く発生する信州の戸隠蕎麦などが有名である。特に、香り高い新蕎麦の需要は多い。

【生 態】

 ソバは、北は北海道から南は鹿児島まで、さまざまな地域で栽培されているが、生産量が多いのは北海道である。種をまいて最短75日で収穫できることから、開墾地で盛んに作られるようになった。弱アルカリ土がソバの栽培には適しているが、荒れた開墾地では酸性土であるため、焼畑を行うことによって灰で中和するなどしてきた。

【製造方法】

 蕎麦粉は、原料であるソバの実(玄蕎麦)を石臼挽きやロール挽きで製粉したものである。ソバの実は熱に弱いことから、水車挽きや石臼挽きで製粉したほうがよいが、現在では機械によるロール挽きがほとんどである。

 ソバの実は、外側から果皮、甘皮、胚乳、子葉になっており、製粉の段階で徐々に取れていく。芯に近い部分は粒子が軽いので、製粉後ふるいにかけたとき早く落ちる。これを一番粉といい、その次は二番粉、さらにその次は三番粉と呼ばれる。

 また玄蕎麦を石臼などで一本挽きにしたものを「挽きぐるみ」といい、ソバの実のすべての層が含まれていることから、これを製粉したものは「全層粉」ともは呼ばれる。甘皮も残っているため、色の黒い、荒い粉ができる。全層粉で作った蕎麦は風味があり、歯ごたえがよい仕上がりになるため、ぞくに田舎蕎麦とも呼ばれている。

【主な種類】

●更科蕎麦

 一番粉を主体に製麺した製品。粉の粒子がきめ細かいため、透明感のある白い色をしている。甘みがあるが香りは淡く、風味は繊細で上品である。御膳蕎麦とも呼ばれる。

●信州蕎麦

 二番粉を主体に製麺した製品。味、風味ともによく、色味は中間色である。

●藪蕎麦

 三番粉を主体に製麺した製品。胚芽、胚乳、甘皮などが入っているため、味、香りともに強い蕎麦で、やや色が黒い。

【栄養と機能性成分】

 タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが多く、毛細血管を強化し動脈硬化の予防になるといわれる、ルチンを含むため、需要は多い。

【保存と利用方法】

 素麺、冷麦、うどんなどほかの乾麺類と同じである。

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