○干し菊(ほしきく)
食用キクの花の部分を蒸して海苔状にすいて乾燥した製品。菊海苔とも呼ばれる。現在食用とされているキクは60種。山形県では滋紅紫の「延命楽」、青森県では「阿房宮」という品種が生産されている。
【名 称】
「延命楽」は「もってのほか」という通称でも親しまれる。
【生 態】
青森県、岩手県、福島県、新潟県など東北北陸地方で栽培されており、青森県では主に「阿房宮」が生産されている。阿房宮という名前は、秦の始皇帝が長安北西に建立した宮殿の名前からとったもの。
観賞用菊の「黄金球」からうまれた品種で、江戸時代に南部(青森県南部町)藩主が京都の九条家の庭に咲いている阿房宮を株分けし藩内に植えたのが、青森県での栽培の始まりだといわれている。南部町では10月中旬から霜の降りる11月中旬にかけて満開となり、収穫される。冷涼地で生産されたものは、特有の芳香、甘味、色彩が優れている。
【製造方法】
①キクの花を鎌で刈り取る。
②花びらをむしり、せいろの形に平均にならす。
③100℃近くの蒸気で蒸す。
④乾燥室に入れて約18時間乾燥する。
【主な種類】
阿房宮は黄色の小輪種で八重咲きの品種。青森県、岩手県などが産地である。延命楽は明るい赤紫の中輪種で八重咲きの品種。山形県、新潟県などが産地である。
【栄養と機能性成分】
食用キクはアルカリ性のため、コレステロールを除去するなど血液の流れをきれいにする作用がある。また、高血圧予防に効果があるといわれているカリウムも含んでいる。
【保存と利用方法】
12月から春の彼岸頃が販売期であり、気温が高くなると変色し、虫がつくことがあるので乾燥した状態で保存する。さっと湯がくだけで鮮やかな彩りと味わいを取り戻す。酢の物はもちろん、大根なますとあわせて「菊なます」にしたり、刺身のつまの彩りとする。
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