2015年9月8日火曜日

干し薇

○干し薇(ほしぜんまい)

 ゼンマイ科のシダであるゼンマイの新芽を摘み取り、煮てから乾燥させた製品。雪解けの山間地ではいち早く芽を出す山菜として法事やおせちなどに人気があり、保存食としても利用される。得に山形県、福島県、新潟県、長野県産の製品が太くてやわらかいため良品とされている。

 ぜんまいは、わらびと同様、山菜の代表的食材で人気があるが、山から採って加工、乾燥と手間がかかるため、近年は国産が少なく中国からの輸入品が多い。ワラビは原林や平地に生えるため天然の収穫量は多いが、ゼンマイは山間地に生えるため天然の収穫量は少ない。人工栽培も行われているが、時間と手間がかかるため高価である。

【名 称】

 くるりと巻いた胞子葉が丸い銭のかたちに似ていることから、「ぜんまい」と呼ばれるようになったという説や、細いぜんまいを織物や手毬の芯に使ったことから「繊巻」と書くようになり、それがなまって「ぜんまい」になったという説などがある。

【生 態】

 おもに山形県、福島県などの東北地方や、新潟県、長野県などの雪国の山間地に自生する。四国地方は、気候の関係で成長が早いので細いものが多い。

【製造方法】

 国産のほとんどが天然物で人工栽培はごく少量である。山間地で人の手によって採られている。

①収穫後すぐに綿毛を取り、大きな鍋に入れてサッと煮る。
②急速に冷やしムシロに広げる。
③天日干ししながら手で何回も何回も揉み、水分をとばす。揉むことにより繊維質の部分がほぐれひねりが加わり独特の食感がうまれる。
④天日でよく乾燥する。

【おもな種類】

 乾燥の方法によって、赤干し、青干しに分けられる。赤干しの製造方法は前述の通り。青干しとは、ゆでたゼンマイを網に広げて薪や松葉を燃やした火にかざし、煙の上で揉みながら乾燥させた製品である。赤干しは天日干ししたもので、もっともおいしいとされている。

【栄養と機能性成分】

 赤血球の材料となる鉄分が豊富で、カロテン、ビタミンKが多い。最も期待できるのは食物繊維で、動脈硬化の予防が期待できるリグニンが含まれている。

【保存と利用方法】

 湿気を嫌うので缶や瓶に入れて保存する。調理する前日から水に浸して戻しておく。多めに戻したときは冷凍すれば数ヶ月は保存できる。利用する前には、大きめの鍋に入れ熱湯をたっぷり注ぎ、フタをして2~3時間おく。赤い水が出るので捨てる。こうすることであくが抜け、やわらかく戻る。

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